2008年07月01日

オツベルと象(エンディング)

こんにちは、りゅうせいです。

「オツベルと象」の最後の場面をどうしても知りたい!

という熱烈な?メールを頂きました σ(^_^;)... 

あるSNSなんですが、その時に載せたつづきです。

初めの方を見てない人は、先に見てね \(^∇^*)


それでは …


ある日、地主のオツベルのところに 大きな白い象がやってくる。

オツベルは 象をうまく騙して自分の所有物にし、

過酷な労働を続けさせる。

そうとはつゆ知らず、初めは労働を楽しんでいた白象だが、

徐々に食べ物を減らされて弱っていく。

白象は 月の助言で仲間たちに手紙を書き、

それを読んだ仲間の象たちは、白象を助けるために 

オツベルの邸へと押し寄せていく。





ん? オツベルかね? そのオツベルは、おれも 

言おうとしてたんだが、いなくなったよ。

まあ 落ちついて 聞きたまえ。

前に話したあの象を、オツベルは、

すこし ひどく し過ぎたんだ。

仕方が、だんだんひどくなったから、

象が なかなか笑わなくなった。

時には赤い竜の眼をして、

じっと こんなふうにオツベルを

見おろすようになってきたんだ。

ある晩 象は象小屋で、三把の藁をたべながら、

十日の月をあおぎ見て、

「苦しいです。サンタマリア。」

と言ったということだ。


次の晩、象は象小屋で、ふらふら倒れて地べたに座り、

藁もたべずに、十一日の月を見て、

「もう、さようなら、サンタマリア。」と言った。

「おや、何だって? さよならだ?」月がにわかに象にきく。

「ええ、さよならです。サンタマリア。」

「何だい、なりばかり大きくて、からきし意気地のないやつだなあ。

 仲間へ手紙を書いたらいいや。」月がわらっていった。

「筆も紙もありませんよう。」象は、しくしくしくしく泣き出した。

「そら、これ。」筆と紙をもらって、象は早速手紙を書いた。

「ぼくはひどいめにあっている。みんなで出て来て助けてくれ。」


手紙を受け取った山の象どもは、沙羅樹の下ので、

額をあつめてこれを見た。

象は一せいに立ちあがり、まっ黒になってほえだした。

「オツベルをやっつけよう」議長の象が高く叫ぶと、

「おう、でかけよう。グララアガア。」みんながいちどに呼応する。

さあ、もうみんな、嵐のように林の中をなきぬけて、

グララアガア、グララアガア、野原の方へとんで行く。

走って走って、とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、

オツベルのやしきの黄いろな屋根を見つけると、

象はいちどに噴火した。グララアガア、グララアガア。

その時はちょうど一時半、オツベルは寝台の上でひるねのさかりで

夢を見ていた。あまり大きな音なので、オツベルの家の農夫どもが、

「林のような象だ。汽車より早くやってくる。」

さあ、まるっきり、血の気も失せてかけこんで、

「だんなあ、象です。押し寄せやした。」と声をかぎりに叫んだ。

ところがオツベル、眼をあいたときは、もう何もかもわかっていた。

「おい、象のやつは小屋にいるのか。居る?居るのか。よし。」

オツベルはもうしたくができていて、農夫どもをはげました。

ところがどうして、こんな主人の巻き添いなんぞ食いたくないから、

みんなタオルやハンケチや、よごれたような白いようなものを、

ぐるぐる腕に巻きつけた。降参をするしるしなのだ。

オツベルはいよいよやっきとなって、そこらあたりをかけまわる。

オツベルの犬も気が立ってほえて、やしきの中をはせまわる。

間もなく地面はぐらぐらとゆられ、象はやしきをとりまいた。

グララアガア、グララアガア、その恐ろしいさわぎの中から、

「今助けるから安心しろよ。」やさしい声もきこえてくる。

「ありがとう。よく来てくれて、ほんとに僕はうれしいよ。」

象小屋からも声がする。さあ、そうすると、まわりの象は、

いっそうひどく、グララアガア、グララアガア、

けれども塀はセメントで、中には鉄も入っているから、

なかなか象でもこわせない。

塀の中にはオツベルが、たった一人で叫んでいる。

そのうち外の象どもは、仲間のからだを台にして、

いよいよ塀を越しかかる。だんだんにゅうと顔を出す。

そのしわくちゃで灰いろの、大きな顔を見あげたとき、

オツベルの犬は、あえなく気絶した。

さあ、オツベルは射ちだした。六連発のピストルさ。

ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、

ところが弾丸は通らない。牙にあたればはねかえる。

「なかなかこいつはうるさいねえ。」そのとき…

五匹の象が一ぺんに、塀からどっと落ちて来た。

オツベルはピストルを握ったまま、

もう、くしゃくしゃにつぶれていた。

門があいていて、象がどしどしなだれ込む。

「牢はどこだ。」みんなは小屋に押し寄せる。

丸太なんぞは、マッチのようにへし折られた。

あの白象は大へんやせて小屋にいた。

「まあ、よかったね。」みんなは、そばにより、

鎖と銅をはずしてやった。

「ああ、ありがとう。ほんとにぼくは助かったよ。」

白象はさびしくわらってそういった。


そして、謎めいた原文のさいごの一行には…

 おや〔一字不明〕、川へはいっちゃいけないったら。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象


posted by 龍 聖 (りゅうせい) at 13:14| Comment(0) | TrackBack(0) | この本! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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